趣味のくずかご

『廃墟の白墨』を読んだ(2022年12週目)

1年半ぶりに三宮へ行った。

以前はマジカルやセンタープラザのタイステによく通っていたが、大阪に引っ越してからはすっかり足が遠のいてしまった。そんな訳で、昨年4月に完成した新生三宮阪急ビルを昨日ようやく拝むことができた。震災前の駅ビルを受け継いだクラシカルな意匠は、当時の記憶が無い私でも胸にこみ上げてくるものがあった。また神戸三宮のシンボルとして長く愛される存在になってほしいと思う。

 

今週読んだ本

『廃墟の白墨』を読んだ。

パン職人である和久井ミモザの元に一通の手紙が届く。それは病床の父に宛てたもので、「王国にて待つ」という謎めいた内容が綴られていたが、それを聞いた父は激しく狼狽する。気になったミモザは王国と呼ばれる大阪の廃ビルを訪れ、そこで待っていた3人の老人から過去に起きた忌まわしい事件について聞くことになる。

王国での異常な生活と、普通を求めてもがく人達のエピソードはまさにノワールといった感じだが、最後には衝撃的などんでん返しがあり、救いのある結末になっている。個人的にはこういう終わり方もありかなと思った。ミステリ好きにも勧められる一冊。