趣味のくずかご

『かがみの孤城』を読んだ(2021年9週目)

【問題】かがみの孤城(ハードカバー)の発売日はいつ?

【答え】2017年5月

……どんなに長くても3年以内には文庫化するだろうと判断し購入を見送っていた。まさか4年近くかかるなんて。

小説は「手軽な趣味」である以前に「芸術作品」であり、ハードカバーという"最も美しく完成された形"で刊行されるべきだと考えている。なので最初から文庫本で出せ!などと声高に主張するつもりはないが、文庫派の庶民としては、もう少し早いと有り難いなぁと感じた。

電子書籍については色々思うところがあるので改めて書く)

  

今週読んだ本

かがみの孤城 上 (ポプラ文庫 つ 1-1)

かがみの孤城 上 (ポプラ文庫 つ 1-1)

  • 作者:辻村 深月
  • 発売日: 2021/03/05
  • メディア: 文庫
 

というわけで、一昨日発売された文庫版『かがみの孤城』を読んだ。

「鏡の中のお城」というファンタジーな舞台設定に対し、描かれるのは7人の中学生が直面する生々しい現実の痛み。学校という空間の特異性を改めて実感すると共に、それを「たかが学校」と切り捨てる著者の心強いメッセージを感じた。

ミステリとしての伏線・回収も美しく、文庫化を待つ間に上がりきったハードルを軽々超えていってくれた。万人におすすめできる傑作。